ケーブルニットの魅力やお手入れ方法
ケーブルニットはファッションを彩るアイテムの一つ。
しかしながらケーブルニットの由来や、その特徴は意外と知られていないもの。またニット製品は、お手入れや保管方法など気をつけるべきポイントがたくさんあります。
そこで今回はケーブルニットが持つ特徴から、ニット素材のお手入れ方法についても触れていきます。
ケーブルニットは縄目模様が特徴で、ロープや綱といった意味のケーブル(cable)が由来です。麻や針金を用いて作られるケーブルを、編みこむような形で袖や胸に施すニット生地を「ケーブルニット」と呼びます。
元々は北欧やアイルランドなどの漁師たちが、防寒用として着用していたセーターが由来なんだとか。日本で広まったのは1960年代後半から、街着として取り入れられるようになりました。
「フィッシャーマンセーター」や「アランニット」などにも採用されているので、馴染み深い編み柄ではないでしょうか。
立体的かつモコモコとした雰囲気で、暖かそうな印象を与えてくれます。素材感を楽しめる定番アイテムとして、コーディネートを盛り上げてくれるでしょう。
また、流行に左右されることが少ないこともケーブルニットの魅力。そのため、1枚持っているだけでさまざまなアイテムと組み合わせられる、汎用性の高いファッションアイテムです。
その他にもケーブルニットアイテムは、表面に凹凸があるので身体のラインを拾いにくいこともポイント。これにより、体型をさりげなくカバーすることができます。
お気に入りのニットアイテムは長く着たいけれども、毛玉や汚れが気になりますよね。
しかしながらニットのお手入れ方法となると、他の生地と比べ難しく感じられる方も多いのではないでしょうか。
ここではニットアイテムがほつれた時の対処法から洗濯や乾燥、干し方などの観点について触れていきます。
ニット生地は引っかかってしまうとすぐにほつれてしまうため、取り扱いが非常にデリケートなアイテムです。生地がほつれた場合に、その部分を引っ張ってしまうと更にほつれがひどくなり、糸が切れてしまうことを覚えておきましょう。
ほつれがひどい場合や糸が切れてしまうと、当然ながら元に戻りにくくなってしまいます。修復する方法はいくつかありますが、小さなほつれの場合であれば針でつつくだけでキレイに補修できることも少なくありません。
まずほつれを発見したら、ニットを裏返し指先で軽くつまむようにして生地を集めましょう。次に、厚みのあるスポンジなどをほつれた部分の下に置きます。その後、ほつれた箇所を指で集めた生地をあてていきましょう。
生地を用意していた針でつついていきます。その際にスポンジから数ミリ程度、下にさすイメージで行うとキレイに仕上がります。ニットを表に返し、最後に表からもほつれた部分を針でつつきましょう。周りの生地となじんだら作業は完了です。
紹介した方法以外にも、ほつれ補修針やかぎ針、補修液といったニットのほつれを直す便利グッズを使用して対処することもおすすめ。もし自分で修復することが難しいと判断した場合は、ほつれた状態のままにし洋服お直しの専門店へ持っていきましょう。
ニットがほつれてしまった際の、NG行為は大きく2つ。
まずほつれてしまった糸を切ってしまうこと。ニットは全ての糸が繋がっているため、切った所から穴が広がって修復不可能になるためです。
2つ目にほつれた部分の糸を引っ張ること。これにより、周りの糸も引っ張られてしまい、生地全体がつってしまいます。
ニットは、ほつれてしまうともう着られないと考えている方もいるかもしれません。しかしながら、ここで紹介した対処法やNG行為をしっかり把握しておけば長く着続けられるでしょう。
ニット製品を洗う場合、洗濯機を使って洗う方法と手洗いの2種類が挙げられます。生地への負担が少なくなることから、特に大切なニットは手洗いの方がおすすめ。
自分で洗濯をする場合は、まずは洗濯表示をチェックすることがポイント。そもそも洗濯機を使用してはいけないケースもあるので注意が必要です。その場合は手洗いで行うか、クリーニングに出しましょう。
ボタンがある場合は、ボタンを留めます。ニットアイテムの汚れが目立つ箇所を確認し、その部分が表になるように畳みましょう。特に首回りや袖があれば袖口は汚れが付着しやすい箇所になるので、洗濯を実施する際はチェックしておくことがポイント。
洗濯ネットを使用し、30℃程度のぬるま湯の洗濯機に入れていきます。使用する洗剤は中性洗剤がおすすめ。洗濯機のコースは、ドライ用・ウールおしゃれ着用などの弱流洗いを選び、脱水を一番短い時間に設定します。脱水が完了したら、ニット製品を洗濯ネットから取り出せば終了です。
洗濯機で洗う場合は時間が短縮できるメリットがあるものの、縮みや絡みの原因になることを覚えておきましょう。
手洗いの場合ですが、まずは30℃以下のぬるま湯を洗面器や桶などに入れていきます。そこに中性洗剤を溶かしていきましょう。ニットアイテムの汚れている箇所を落としていきますが、揉まずに叩き洗いすることがポイント。
次に全体を洗っていきます。洗剤水に洗濯物を入れて、30秒程度洗剤が浸透するのを待ちましょう。時間が経ったらゆっくり30〜40回ほど優しく押し洗いしていき、洗剤水を捨てたらニットを軽く絞っていきます。
新しいぬるま湯を準備しそこにニット製品を沈めたら、下から上に持ち上げて上下に揺すりながらすすいでいきましょう。すすぎ終わったら水を減らして、衣類用の柔軟剤を入れていきます。
その後、軽く手で絞ってから洗濯ネットに入れた状態で、洗濯機で脱水していきましょう。洗濯機が作動してから30秒〜1分程度で洗濯機の中に入れることがポイント。これは脱水時間が長くなってしまうと、シワができやすくなり取れづらくなってしまうためです。脱水が終了したら、最後に形を整えていきます。その際、陰干しでバスタオルやネットの上に平に干していきましょう。
手洗いだと汚れが落ちないけど、洗濯機で洗うのは不安という方は、クリーニング屋へ持ち込むのが最も安心できる方法です。
ニットアイテムを洗濯したら、早めに干すことが大切。またカットソーやボトムスとは異なり、ニット製品は干し方を間違えてしまうと伸びてしまうことがあります。
そのため平たい所を使用し、形を整えてから干すといいでしょう。これにより型崩れしたり伸びたりすることを軽減することが期待できます。また直射日光に当たると焼けたり、変色したりするので必ず陰干しすることもポイント。
乾燥機を使う場合は注意が必要です。コインランドリーなどで見かけるタンブラー乾燥は、型崩れや縮みだけではなくボタンなどの付属物が壊れたり、ニットが持つ独特の風合いが損なわれるなどが予想されるので、使用することはおすすめできません。
干しあがった後にアイロンで仕上げると、ふっくらした仕上がりになります。アイロンを生地から2cm程度、離した状態でスチームを当てていきましょう。温かいうちに余分な蒸気を抜いて、縦糸横糸を引っ張るように手アイロンして整えると、ふっくらした仕上がりに。
また、ニットが伸びたり縮んだりしてしまったら、当て布をしてアイロンのスチームを浮かして形を戻してきましょう。その際にアイロンで押さえつけると、アイロンの後が残ったりテカったりと風合いを損なうので注意が必要です。
ニットは、日頃からお手入れをすることで長持ちさせることができます。
例えば着用後は洋服ブラシを使用し、付着した汚れを払い取ること。これにより絡まりかけた繊維をほぐすことで毛並みを揃え、毛玉を出来にくくしてくれます。
しかしながら洋服ブラシも使用方法を誤ると、生地を傷めてしまう原因に。ブラッシングの基本は「こすらずに払う」ことで、手首を回して払うようにブラシを動かしましょう。まず繊維をほぐしてから、ほこりを払い飛ばすことがポイント。
またニット製品につきものなのが毛玉で、主な原因は摩擦によるものです。服を着ている時や洗濯の最中、カバンなどと擦れたりなど毛玉ができる機会は日常に溢れています。ですからどんなにお気に入りのニットでも連続して着ると繊維が摩耗してすぐに着られなくなってしまうことも少なくありません。そのため長く着用すればするほど摩擦することも多くなるため、できるだけ間隔を空けて着用するようにしましょう。
ニット製品はデリケートなアイテムですが、ほんの少しこだわりを持つだけで長持ちさせられることが期待できます。
ニットアイテムはシーズンが限られるため、保管する必要があります。洗濯をし、十分に乾燥させたら綺麗に畳んで密閉度の高いケースに保管しましょう。
その際、クローゼットなどにハンガーにかけての保管は避けた方がいいです。次のシーズンまでの長期保管になるので、ニットの重みで生地が伸びてしまうためです。
ケースに入れる際はギュウギュウ詰めにしてしまうとシワがついてしまったりするので、押さえつけないようにしてくださいね。ニットアイテムを保管する場合は、スペースに余裕をもって収納しましょう。
また虫食いの危険性も高くなるので、防虫剤も一緒に入れておくことがポイント。防虫剤の成分は空気よりも重いので、一番上に入れておくことが大切です。
防虫剤と一緒に保管すると、気になるのが臭い。長期保管後に着用したくても、諦めたなんて方も多いのではないでしょうか。
気になる防虫剤の臭いは、ドライヤーの風をあてることで解消できます。
これはニットアイテム以外の衣料品でも使えるので、防虫剤の臭いが気になる場合は試してみてください。その際のドライヤーの風は「冷風」に設定しましょう。温風だと衣類を傷めてしまう可能性があるためです。
今回はケーブルニットが持つ特徴から、注意すべきニット素材のお手入れ方法について触れてきました。見た目の印象も変わるので、一着持っておくと普段のコーディネイトの強い味方になってくれるでしょう。
ニット製品はデリケートなイメージを抱きがちですが、適切なお手入れ方法やほつれが生じた場合の対処法を知っておくだけで長く愛用することも可能です。