ファッションスタイルの定番「アメカジ」について
多くのファッションスタイルの中でも根強い人気を誇る「アメカジ」。
しかしながら、アメカジの定義やどのように誕生したのかまでは知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は定番スタイル「アメカジ」にフォーカスし、日本における変遷やスタイルについても説明していきます。
アメカジはアメリカンカジュアルの略称で、機能性を重視した衣類や、その着こなし全般を指すものです。
もともとは、アメリカの伝統的な大学スタイルである「アイビールック」やカリフォルニア風のスポーツ・ファッションなどをベースとしたものでした。
カジュアルでありながらも、ラフすぎず着崩し過ぎない意外ときっちりとしたスタイルが特徴。
実は日本で誕生したファッションスタイルで、1980年代から1990年代に渋谷で流行ったカジュアルなファッションが起源。
これが後に「アメカジ」として全国に広まり市民権を得たのです。今や世代を問わず人気ファッションとして定着しています。
現在では世代を問わず、支持を集めるアメカジスタイル。
ここでは日本におけるアメカジの変遷を年代別に説明していきます。
そもそも日本にアメリカのカジュアルウェアが本格的に入ってきたのは1960年代のこと。
当時のアメリカの大学生のファッションスタイルを参考に、「アイビー・ルック」が日本でも流行します。
アイビー・ルックは紺のブレザーにボタンダウンシャツ、コットンパンツといったトラディショナルスタイル。
日本では「みゆき族」と言われた当時の若者たちにより、ジーンズなどで着崩した独自のスタイルを確立していきます。
これが日本でのアメカジのルーツと言われています。
1970年代には、アメリカの反戦運動から生まれた「ヒッピースタイル」が日本でも流行します。
当時は戦争への反発心からロックやフォークなどの音楽が生まれ、愛や平和、自由を叫ぶ数々の名曲が誕生しました。また、ドラッグを肯定し精神的自由を訴えた映画や絵画、写真などの作品が生まれたのもこの頃。
ヒッピー発祥の地はサンフランシスコのダウンタウンと言われており、ここでヒッピーたちが最初の共同生活を始めたのが起源なんだとか。
それから若者の間で独特で奇抜なファッションスタイルが流行し、真の平和と自由を得たいという思いを表現したヒッピースタイルが誕生します。
様々な民俗風習、部族の衣装の特徴を取り入れたファッションで、ベルボトムのジーンズをはいて、花柄や刺繍を多く取り入れた奇抜なでカラフルな色使いの多いのも特徴です。
これらはフォークロアとも呼ばれ、日本では学生運動や音楽とも密接な関係にありました。
この辺りから、日本の若者の間でジーンズが一般化していきます。
1980年代のアメリカ文化は、世界の若者を魅了。それは日本も例外ではありません。
渋谷の学生を中心に流行した、シンプルで飽きのこない定番アイテムを品良く着こなすのが基本コンセプトの「渋カジスタイル」が誕生。
それまで日本はDCブランドが人気を牽引していましたが、そのカウンターカルチャーとして誕生したのが渋カジ。
当時では高価だった、アメリカ製のアイテムを身に纏ったスタイルで、都内の有名私立高校の富裕層の若者たちが火付け役と言われています。
そこから、ファッション雑誌が取り上げるなど渋カジは全国へと人気を拡大。
渋谷で誕生したファッションスタイルは世代を巻き込んだムーブメントに発展していきます。
1980年に流行した渋カジは1990年に入ると、様々な派生スタイルが誕生します。ストリート寄りの「裏原系」や音楽からインスパイアされた「グランジ」などです。
この時期はファッション雑誌はもちろんですが、有名人がアメカジスタイルでテレビに出演するなど、ビンテージブームやハイテクスニーカーブームなどを巻き起こします。
アメリカ製の年代物の価格が高騰したり、ハイテクスニーカーは人気のあまり入手困難になり盗難が相次いでしまうなんてことも。
このようにアメカジファッションは一代ムーブメントを築き、その人気は社会現象に発展する程でした。
2000年代以降は、ファッションスタイルが多様化したこともあり定番スタイルとして定着します。
アメカジと言っても、スタイルは実に様々。ここでは代表的なアメカジスタイルを5つ紹介します。
それぞれの定番アイテムも紹介しますので、参考にしてみてくださいね。
ウエスタンスタイルはアメリカ西部のカウボーイがモチーフ。
カウボーイハットやデニム、チェックシャツなどが主要アイテム。
丈夫で機能的なものが多く、ちょっぴり男臭さがあって味のあるスタイルです。
カレッジスタイルは前述した通り、アメカジの火付け役となったスタイル。当時のアメリカの大学生のアイビールックがベース。
スウェットやジーンズ、カーディガンやチノパンなどが代表的。かっちりせず軽快さのある学生らしいスタイルで、アメカジの王道スタイルです。
古着やヴィンテージ感が強く、昔ながらの味のあるアメカジファッションを楽しむことができます。
クセのあるアイテムは少ないので取り入れやすいスタイルです。
ミリタリースタイルはアメリカ軍の洋服をファッションに取り入れたことで、市民権を得たスタイル。主にMA-1やチノパン、ミリタリーシャツ、カーゴパンツなどがあります。
機能的で武骨な雰囲気が特徴的で、陸軍系はアーミールック、海軍風はネービールックと呼ばれています。
カジュアルで男臭さも感じられるスタイルですが、女性にも支持を得ているジャンルです。
ワークスタイルはアメリカの労働者の作業着がルーツ。タフで男らしい印象を与えてくれます。
機能性の高いアイテムが多く、ジーンズやオーバーオール、チノパンなどが挙げられます。
サーフスタイルはアメリカ西海岸のサーフカルチャーが始まり。爽やかな印象で、主に夏に活躍してくれるスタイル。
代表的なアイテムは、ショートパンツやアロハシャツ、ウォッシュアウトジーンズなどです。
サマーコーデュロイや、タオル生地の洋服など、涼しく肌触りが良い素材を採用したアイテムが特徴です。
トレンドに左右されず、老若男女に支持されているアメカジスタイル。歴史を振り返れば、日本が産んだスタイルなんです。
当初はカレッジスタイルが基本でしたが、現在では多くの派生スタイルが誕生しています。
当記事を通して自分に合ったアメカジスタイルの参考にしていただければ幸いです。