音楽はアメリカでどのように進化したのか、年代ごとに紐解く
音楽の中でもポピュラー音楽のルーツは欧米、特にアメリカで誕生した音楽の影響を強く受けて発展しました。
近年私たちが耳にしている多くの音楽はアメリカ文化から多大な影響を受けていると言っても過言ではないでしょう。
今回はアメリカが育んできた音楽文化の一部をご紹介してみたいと思います。
遡ること1600年代初頭に、植民者が上陸しアメリカ植民地時代が始まります。
この頃のアメリカのポピュラーソングは、開拓者たちの母国であるヨーロッパ各地の民謡や労働歌が原曲となった替え歌的なものがメインでした。
アメリカ最古のポピュラーソングと言われる「Yankee Doodle」の原曲は、イギリスの子守唄であるというのが定説となっています。
「Amazing Grace」もこの頃に作られた宗教歌です。奴隷船の船長であったイギリス人牧師がつくった曲と言われています。
19世紀半ばのアメリカでは、産業革命によりニューヨークなどの商業都市が発展していきます。
ヨーロッパからバレエ団やオーケストラを呼び、アメリカには多くの娯楽が生まれていきます。この時期にアメリカ最初の大衆芸能「ミンストレル・ショウ」が誕生し、これがやがてミュージカル・コメディへと発展していきます。
1950年代はポップス人気が高くジャズ、ロックも成長していきます。
1950年代のアメリカは、第二次世界大戦後の好景気によって、中流階級が台頭していきました。これによりアメリカは大きな経済発展を遂げます。
生活が豊かになることによって、大人でも子供でもない若者、いわゆる「ティーンエイジャー」がクローズアップされていきます。
このような層はファッションと音楽を楽しむ傾向にあったため「ポップス」はそのような時代背景に呼応する形で人気を獲得していきます。
1950年代半ばから戦後の社会矛盾に対する戦後世代の若者によるカウンターカルチャーとして「ロックンロール」が誕生します。
1958年のにロックンロールを牽引してきたエルヴィス・プレスリーが軍隊に入隊したことなどもあり、1960年代初頭のアメリカでは「ロックンロール」が徐々に停滞することに。
しかし、1962年のイギリスのグループ「ビートルズ」の登場により、1960年代はアメリカを含めた各国のポピュラー音楽の世界が一変します。
その一方、ボブ・ディランのデビューによりフォーク・ソングから発展したフォーク・ロックや、プログレッシブロックといった多様な「ロック」が生まれていきます。
1970年代、ロックはさらにジャンルが多様化し成熟していき市場を拡大していきます。
ヒットチャートではブリティッシュ・ハード・ロックバンドやウェスト・コースト・ロックが賑わいを見せます。
ロック成熟化に伴い1970年代の後半には1960年代のロックが持っていた生々しさやカウンターカルチャーとしての輝きが徐々に移ろい変わっていきます。
1970年半ばには、ロックのアンチテーゼとしてパンクロックが流行します。
1980年代にはロックの市場が大きくなり様々なヒット曲が生まれます。
この年代は「MTV」という24時間ポピュラー音楽のビデオクリップを流し続ける音楽専門チャンネルが誕生します。
マイケル・ジャクソンの「スリラー」はそのMTVが生んだ最大のヒット曲と言えるでしょう。
アメリカのインディー・シーンからオルタナティブ・ロックというジャンルが誕生し「ニルヴァーナ」という1990年代を代表とするバンドが登場しました。
しかしロックのカウンターカルチャーとしての役割が縮小されていく潮流は変わらず、1980年代から1990年代にかけては、カウンターカルチャーとしての役割を果たす音楽がラップ、ヒップホップに移行したと考えられます。
1990年代はラップ、ヒップホップの黄金期となりました。
時代は移り、ポップスやロック、ヒップホップなど様々な音楽の要素が入り混じり現代の音楽に至ります。
その時期の大統領や有色人種(ヒスパニック系・アフリカ系・アジア系など)の人口推移なども音楽シーンに大きな影響を与えているようです。
アメリカをはじめとし、これからも音楽マーケットは急速に多様化していくでしょう。
ポートランドのロック・シーンが活性化しはじめたのは実は90年代頃。
シアトルのサブ・ポップ、オリンピアのKやキル・ロック・スターズなど、近隣の街で次々とインディー・レーベルが立ち上がります。するとミュージシャンが続々とポートランドにも集まりはじめたのです。
その代表的な存在が、エリオット・スミスやスティーヴン・マルクマス。
そして、そこで形成されたインディー・シーンが成熟し、2000年代には世界的なブレイクを果たしたガレージ・バンドのゴシップをはじめとして、M・ウォードやローラ・ギブソン、イーサン・ローズなど様々なアーティストが注目を集めます。
アーティストの多彩さこそがポートランドシーンの特徴とも言えるでしょう。東のブルックリンに対して、ポートランドは西海岸でもっとも注目される音楽都市として発展していきます。
国問わず世界中の音楽を手軽に楽しめるようになった現代において、音楽はますます多様化していくでしょう。
アメリカの音楽文化が今後どのような発展を遂げるのか、楽しみですね。