2022.02.16「美食の街」ポートランドの食文化とは

豊かな自然に恵まれたポートランド。「美食の街」としても知られており、良質なオーガニック食材など、そこでしか味わうことができない食材が提供されています。

そんなポートランドの食文化を語る上で2つのキーワードを覚えておきましょう。それが「ファーマーズマーケット」と「フードカート」。これらのキーワードは、ポートランドにおけるフードカルチャーにおいて欠かすことができません。

今回はポートランドにおける食文化にフォーカスし、ファーマーズマーケットやフードカートの側面から紐解いていきましょう。

1 ポートランドにおける食文化

ポートランドの住民の多くは、地元の食材を美味しく食べたいという意識を強く持っています。オーガニックなものや作り手が分かる食材を調理し、家族や友人と一緒に心地よく食べることがポートランドでは文化として広く根付いています。

またポートランド内に出店している店舗についても、地元の食材を使用したり自家農園で栽培した新鮮なオーガニック野菜など、ほとんどの店舗がここでしか食べられない料理を提供していることがポイント。

ポートランドの特産品である小麦を生かしたパンや、地元で多く製造されるワインやビールとともに料理を楽しむことができます。さらにポートランドに住んでいる方は食べるだけではなく、自らも農園や自宅の庭で野菜や果物を栽培するなど農業に対しての関心が強い傾向があります。

そしてそのような食材や料理を家族や仲間でテーブルを囲み、一緒に心地よく食事を楽しむことがポートランドの地域住民にとっての食のスタイルです。

2 ファーマーズマーケットやフードカート

ポートランドのフードカルチャーを語る上で、「ファーマーズマーケット」と「フードカート」の2つの特色があります。

ここでは「ファーマーズマーケット」と「フードカート」について紹介していきます。

2-1 ファーマーズマーケット

ファーマーズマーケットはその地域の生産者農家が自分達で栽培した農産物を持ち寄り、地域住民などに直接販売するスタイルの市場のこと。

特にポートランドはファーマーズマーケットが各地で行われており、多くの買い物客で賑わいをみせています。ファーマーズマーケットで提供されている食品は実に様々で、地元産の野菜や果物からパンやハチミツやジャム、新鮮な肉や魚、その他にもローカルワインや花などがあり活気に満ち溢れています。

実施されるタイミングは、毎年3月から12月にかけてポートランド市内の多くの公園で開催されています。

ポートランド内でファーマーズマーケットがスタートしたのは1992年のこと。当初は僅か13店舗の出店でしたが、現在では多くの出店者が集い、その数は200を超えると言われている程です。

地域住民にとっても生活の一部となっており、欠かすことができないものとして定着していることは言うまでもありません。

2-2 フードカート

フードカートは移動式屋台のことで、ポートランドのフードカルチャーを語る上で欠かすことができません。

ポートランド市内には多くのフードカートが存在し、それぞれの拠点を作りカート・ポッドと呼ばれる屋台街を形成しています。フードカートのタイプは「バン」「ワゴン車」「トレーラー」「キャンピングカー」など実に様々。それぞれに趣向を凝らした作りになっており、見ているだけでも楽しめることが特徴の一つ。

また提供しているものも多種多様で、多国籍の料理やクラフトビールやコーヒー、ラーメンなどを楽しむことができます。手軽に食事を済ませたい時や一休みしたいなんて場合に、ポートランド住民はもちろんですが、観光客の憩いの場としても確立されています。

さらにフードカートには重要な役割があり、それは飲食店の経営を目指す方へのチャンスの提供です。将来、自分が飲食店を経営したいと志しても、資金面で断念してしまうなんてことも少なくありません。そのような方々にとって、フードカートは資金面でもハードルが低く、スタートさせやすい条件が揃っていることが魅力。

このような文化が根付いているので、夢を諦めずチャレンジできる環境がポートランドにはあります。実際にフードカートから開始し、現在ではポートランド市内にレストランを構えているなんて方も少なくありません。

3 ポートランドの有名飲食店

ポートランド内に出店している飲食店の多くは15時〜18時の営業時間帯をハッピーアワーと称し、飲み物やそれにあうおつまみを安く提供しています。

例え一流店であってもハッピーアワーを実施している飲食店が多いので、手軽に飲食を楽しめることがポイント。この時間は特に多くの人で賑わい、飲食を通して人との出会いやコミュニケーションの場としても利用されています。

ここでは、ポートランドに行った際は立ち寄りたい飲食店を6店舗紹介していきます。

3-1 ガーデン・バー

ガーデン・バーは2014年にクリストファー・ハンフォード氏とアナ・チャウド氏によって創業されたサラダバー。

数十種類にも及ぶサラダの素材とドレッシングから、自分が好みのものをボールに盛り付け提供してくれます。メインはサラダですが、季節のスープやデザート、ローカルな飲料なども楽しむことができる飲食店です。

デリバリーやオンラインでの受注も行っているので、店舗に行けない忙しい時などは自宅でも楽しめることが魅力。

提供している食材は近隣で採れた無農薬の野菜や、果物、豆、肉、チーズなど提供している材料の全てを信頼できる生産者から農園直送で仕入れていることが特徴。

ガーデン・バーで取り扱う飲料も地元企業が製造しているナチュラル・ジュースやスタンプタウン・コーヒーを仕入れています。さらに店内に設置されているテーブルもオレゴン州で伐採された素材を用いたテーブルを使用しており、店舗のほとんどが地域に密着した物を厳選し、地域経済が回るように配慮されていることがポイント。

また地域コミュニティ活動も積極的に参加しており、スポーツジムやヨガスタジオと連携したイベントや、地域の小学生を対象とした近郊農園と共同企画の食育プログラムの開催など、多方面で地域に根付いた活動を実施していることが人気の理由の一つ。

3-2 クラークルイス

クラークルイスは「ファーム・トゥ・テーブル」と呼ばれる、地元農家の食材を使用して料理を提供している飲食店。

ポートランドの飲食店のほとんどがこの「ファーム・トゥ・テーブル」を謳っていますが、早くから実践してきたのがクラークルイスです。地元の生産者とレストランが連携し、新鮮かつ安全で美味しい食材を届ける体制を構築しています。

店舗は南西地区に拠点を置き、かつて倉庫だった建物を活かし広々とした内装で、無造作に積まれた薪と賑やかなオープンキッチンがギャラリーのようなレストランです。

3-3 オリンピア・プロビジョンズ

オリンピア・プロビジョンズは、肉加工品の販売とレストランの複合業態です。

オーナーでもありサラミ職人でもあるエリアス・カイロ氏が、ヨーロッパで肉の保存技術を修行したのちに、アメリカでは当時主流ではなかった肉の加工技術を復活させました。

全米で注目を集めるUSDAオーガニック認証の精肉を使用した数々のサラミは、ポートランド市内の多くのレストランや高級食材店で取り扱われファーマーズ・マーケットにも出店。

ポートランド市内に構えるレストランは2店舗あり、サラミはもちろんですが自家製のピクルスやチキン、ポークチョックなども有名で、ランチタイムのサンドイッチも住民から人気を集めています。

3-4 ブードゥ・ドーナツ

ブードゥ・ドーナツは、2003年にダウンタウン地区にオープン。その人気ぶりは凄く、ダウンタウンでドーナツを食べるならここと、一日を通して長蛇の列ができるほどの超人気店です。

紫やピンクが使われたネオンが特徴的な看板が目印で、内装もピンクを基調としており店内にいるだけでも楽しめる空間になっています。

また提供されているドーナツも個性的で、店内に負けないほどカラフルで食べるのがもったいないくらい。さらにその数はなんと100種類以上で、ほとんどのドーナツが色も形もユニークで遊び心が詰め込まれています。

3-5 ソルト&ストロー

ソルト&ストローは、ポートランドの北東地区アルバータ通りに2011年に創業したアイスクリーム店。その人気ぶりはポートランドに留まらず、ロサンゼルスやサンフランシスコに出店している程。

オレゴン州ユージンの牧場からオーガニックな乳製品を直接取り寄せて製品化していることがポイント。材料もオーガニックのものを使っているので、こだわりのアイスクリームが楽しめます。

一風変わった商品名が多いので、アイスクリームを注文する前にテイスティングができることが魅力です。

3-6 ラルド

ラルドはフードカートのサンドイッチ店からスタートし、2012年に店舗を構えることに成功したサンドイッチ店。

シェフを務めるリック・ジェンカレリ氏は、サンフランシスコやニューヨークでシェフとして働いていました。自分のお店を持ちたいと一念発起し、ポートランドでサンドイッチのフードカートからスタート。

地元の食材を使ったおいしいサンドイッチが、地域住民の心を鷲掴みにしたラルドは店舗数を拡大し現在では超人気店です。

まとめ

美食の街としても有名なポートランドの食文化について、紹介してきました。

ポートランドの地域住民の多くは、地元の食材を家族や友人と一緒に楽しむ傾向にあります。それは提供しているレストランなどの飲食店も同じ考えを持っており、地元で生産されたこだわった食材や、自分たちで栽培した食材を振る舞うことで住民の憩いの場として成り立っています。

またファーマーズマーケットやフードカートなど、自分の店舗を持つ方へのチャンスの場を提供していることがポートランドの魅力。ポートランドに行く際は是非、地元でしか味わえないものを楽しんでみてはいかがでしょうか。