2023.05.01アメリカ発祥「サードウェーブコーヒー」の歴史

嗜好品や息抜きの一杯として、コーヒーを楽しむ方も多いでしょう。そんなコーヒーの歴史を示す「サードウェーブコーヒー」についてご存じでしょうか。サードウェーブコーヒーとは、2000年ごろに始まったアメリカにおけるコーヒー文化の「3度目」の変化を表す言葉です。

1度目の波である「ファーストウェーブ」は、流通の発達した19世紀ごろ、コーヒーの大量生産と消費が重視された時代です。続く2度目の波「セカンドウェーブ」は、スターバックスやタリーズなどのコーヒーショップが台頭し始めた1960年代以降の時代を指します。

今回は、ファーストウェーブ・セカンドウェーブに続くコーヒー文化の第3の波、サードウェーブコーヒーについて解説します。

サードウェーブコーヒーにも関連するアメリカのコーヒー文化についてはコチラ。

1 サードウェーブコーヒーの特徴とは

複数の農園の豆をブレンドして提供していたセカンドウェーブまでのコーヒーに対し、特定の農園が栽培する特定の豆のみを使用するのがサードウェーブコーヒーの特徴です。

ここでは、サードウェーブコーヒーの特徴に挙げられる4つの点を紹介します。

1-1 フルーティーな酸味の浅煎りコーヒー

サードウェーブコーヒーの大きな特徴に、浅煎りの豆を使用するというものがあります。浅煎りの豆にはフルーティーな酸味があり、コーヒー豆本来が持つ風味を楽しめるのが特徴です。

1-2 シングルオリジン

シングルオリジンとは、単一品種を表す言葉です。農場・生産者が一つの銘柄として揃えたものを指します。

気候や土壌など、農場ごとに異なる条件によって異なる豆の風味を、その土地の「個性」として楽しめるのがシングルオリジンの魅力。サードウェーブコーヒーにおいてはこのように、単一品種の豆を使用し、農園ごとの個性を楽しむのが特徴です。

1-3 ハンドドリップで丁寧に淹れる

日本の喫茶店のような、一杯ずつ丁寧に淹れるスタイルをとるのも、サードウェーブコーヒーの特徴です。

コーヒーショップのように、マシンで淹れるコーヒーと異なり、淹れ方による風味の変化を楽しめるのがサードウェーブコーヒーの魅力。

実際、サードウェーブコーヒーの代表格である「ブルーボトルコーヒー」の創業者「ジェームス・フリーマン氏」も、日本の喫茶店文化にサードウェーブコーヒーのルーツがあると話しています。

1-4 ダイレクトトレードで豆を買い付ける

サードウェーブコーヒーは、生産者から直接豆を買い付ける「ダイレクトトレード」の形をとるのが特徴です。

セカンドウェーブまでのコーヒーは、生産者からコーヒー会社に豆が届くスタイルで、かついくつかの仲介業者を通して仕入れていました。

サードウェーブコーヒーはロースターが生産地から直接豆を買い付けるため、生産コストと流通価格のバランスが取れるようになります。また、仲介業者に豆を買い叩かれる心配もないため、生産者を守ることにもつながります。

2 自宅でサードウェーブコーヒーを楽しむには

ここでは喫茶店のような本格的なサードウェーブコーヒーを、自宅で楽しむ方法にについて解説します。

2-1 準備

サードウェーブコーヒーを自宅で楽しむ際は、まずシングルオリジンのコーヒーを用意してください。挽きたての風味を味わえるよう、自分で挽くのがおすすめです。コーヒー豆のほかに用意するものは、以下を参考にしてください。

・サーバー
・ドリッパー
・ケトル
・ミル
・フィルター
・カップ

これらとこだわりのシングルオリジン豆があれば、自宅でサードウェーブコーヒーを飲む準備は完了です。

2-2 淹れ方

サードウェーブコーヒーを淹れる際は、以下の手順を参考にしてください。

1, コーヒー豆を挽く(香りを損なわないよう飲む分だけ挽くのがおすすめ)
2, ドリッパーにフィルターをカップにセットする
3, 1で挽いた豆を入れる
4, カップに少量のお湯を注ぐ(93℃ほどがおすすめ)
5, 10〜20秒ほど蒸らす
6, 2度目のお湯を多めに注ぐ
7, 粉末のコーヒー豆が沈み込みそうになったらお湯を少量注ぐ(沈み込みそうになるたび繰り返す)

2-3 よりおいしく淹れるポイント

サードウェーブコーヒーで使用する浅煎りの豆は深煎りよりも重く、お湯を注いだ際に沈み込みやすいのが特徴です。沈み込む前に手早くお湯を注ぎ足すことで、美味しいコーヒーに仕上がります。

また、ドリップしすぎると酸味が出やすいため、2度目のお湯を注ぐ際にできるだけ多くのお湯を注ぐことで抽出時間を調整しましょう。

注湯回数を少なくできればさっぱりとした酸味になります。あえて酸味をしっかり出したいのであれば、2度目の注湯を少なくするのがおすすめです。

3 サードウェーブコーヒーを本場で楽しむには

アメリカのコーヒー文化における「歴史」ともいえるサードウェーブコーヒーを、本場で楽しみたいという方も多いでしょう。ここでは、本場アメリカでサードウェーブコーヒーを楽しむ際に訪れるべきコーヒーショップを4店紹介します。

3-1 ブルーボトルコーヒー

ブルーボトルコーヒーは、サードウェーブコーヒーの火付け役といわれているコーヒーショップです。創業者であるジェームス・フリーマン氏が、自宅のガレージから始めたことで知られています。

オークランドでの創業後サンフランシスコ各地に出店し、日本にも上陸しました。ちなみに、コーヒーとの相性がぴったりのオーツミルクを使用しており、日本のブルーボトルでも取り扱っています。

3-2 サイトグラスコーヒー

最初期のブルーボトルコーヒーで働いていた「ジェラード・モリソン氏」と「ジャスティン・モリソン氏」が兄弟で創業したコーヒーショップ。

ブルーボトルコーヒーで働いていた経験を活かし、サイトグラスコーヒーを創業します。サイトグラスコーヒーは「グリーンコーヒー」に着目し、直接契約・独占契約した農家に品質向上のアドバイスを受けて品質を高めているのが特徴です。

3-3 リチュアルコーヒー

リチュアルコーヒーは、2005年に「アイリーン・ハッシ氏」と「ジュレミー・トゥッカー氏」により創業されたコーヒーショップです。

使用している豆は焙煎から3日以内のものに絞っていることから、味や風味、品質へのこだわりが強いコーヒーショップということがわかります。

3-4 フォーバレルコーヒー

フォーバレルコーヒーは、リチュアルコーヒーの創業者である「ジュレミー・トゥッカー氏」がサンフランシスコ・ミッション地区にオープンさせたコーヒーショップ。

4つの樽に入ったロースト豆が、店名の由来といわれています。昔ながらの焙煎期により、人の手でおいしさを追求しているのがフォーバレルコーヒーのこだわり。

近年注目度を集める「オーガニックサステナブル」にも力を入れており、森林破壊や遺伝子組み換え問題に配慮した自家製アーモンドミルクを使用しているのも特徴です。

サードウェーブコーヒーの文化は第4の波を引き寄せている

大量生産ではなく、こだわりの淹れ方で豆本来の味を楽しむのがサードウェーブコーヒーの魅力。ファーストウェーブ・セカンドウェーブを経て生まれた文化であるため、第4の波「フォースウェーブ」を意識する方も多いでしょう。

フォースウェーブについてはまだ予想の域を出ないものの、家庭用マシンの進化やコロナ禍による「オンラインでのコーヒー豆購入」に準じた波が来るのではないかと考えられます。また、サードウェーブコーヒーで注目され始めた「サステナブル」の考えが、より色濃くなった波としてフォースウェーブが来る可能性も捨てきれません。

いずれにしろ、サードウェーブコーヒーの歴史はまだ始まったばかり。今回紹介した内容を参考に、今の時代におけるコーヒーの文化に深入りしてみてはいかがでしょうか。